読書から国語力を育てることばの学校【今月の一冊】

今月のこの一冊

ことばの学校とっておきの
ラインナップの
1冊を紹介します!

5月の一冊

『キャベツくん』
長新太/作・/絵
1,404円 1980年初版
テーマ
ふれあい
読後感
ほのぼの
絵のタッチ
明るい

ぼくをたべると、こうなる!
『キャベツくん』

腹がすいたブタヤマさんは、キャベツくんのことを食べたくなってしまいます。
「ぼくをたべると、キャベツになるよ!」というと、キャベツになったブタヤマさんの様子が空にぽっかり浮かびあがりました。
その後、キャベツを食べてしまうと、動物がキャベツになってしまう様子が次々に空に描かれていきます。

ポイント

絵本をめくるたび、次にはどんなふうに動物がキャベツに変わっているのだろうかと、わくわくします。
そして、めくってみると、その絵の不思議な魅力に見入ってしまいます。
ストーリーを読み取るのではない、この本ならではの不思議な気持ちになるための絵本です。

4月の一冊

『999ひきのきょうだいのはるですよ』
木村研/作 村上康成/絵
1,296円  2009年初版
テーマ
春の訪れ、冬眠
読後感
わくわく
絵のタッチ
まるいキャラクター

春に読みたい本
『999ひきのきょうだいのはるですよ』

冬眠から目覚めた999匹のカエルの兄弟たち。
桜が満開なのに、他の生き物たちはまだ冬眠したままです。
そこで、999匹は起こしてまわろうと考えます。

ポイント

冬を乗り切るために冬眠する生き物たち。
春の訪れに気づかずに毎年、桜を見られずにいるカメさんも999匹のおかげで今年は満開の桜が見られました。
その後も次々と、おねぼうさんを探してはカエルたちは起こしにかかります。
そのたびに、寝場所からいったい誰が出てくるのかと、どきどきします。
知らずに、こわーい、あの生き物も起こしてしまうのです。
冬眠と春の訪れを巧みに扱った作品です。
ぜひ、この本を読んで、お花見に出かけて、花だけではなく、生き物たちも観察してみてくださいね。

3月の一冊

『赤毛のアン』
L.M.モンゴメリ/作 村岡花子/訳 HACCAN/絵
713円 1908年初版
テーマ
成長
読後感
わくわく
絵のタッチ
現代的・かわいらしい

個性的な少女と美しい四季の物語
『赤毛のアン』

孤児のアンはマシュウおじさんとマリラおばさんの家へ引き取られます。
そして、おじさん、おばさんや学校で出会う友人たちとの交流を通して、アンが自分を見つめ、生きる喜びを感じる瞬間、瞬間が描かれていきます。

ポイント

風変りな少女という印象のアンが主人公です。
人の話を聞き入れられず、自分の話ばかりするような、少し困った人なのです。
ところが、読み進めていくと、アンの個性として、その違和感はむしろプラスに変わります。
生き生きとした人間性が魅力的に感じるようになります。
アンを引き取ったマシュウやマリラがそうなったように、アンの想像力あふれる話を続けてもっと聞きたくなってしまいます。

たぐいまれな想像力と純粋な(まっすぐで、それだから失敗もする)性格の持ち主・アンの成長がカナダのプリンスエドワード島の美しい四季を背景に絵物語のように語られます。

2月の一冊

『きつねのかみさま』
あまんきみこ/作 酒井駒子/絵 
ポプラ社 1188円 2005年初版
テーマ
思いやり
読後感
ほのぼの
絵のタッチ
繊細

きつねも、なわとびがしてみたい!
『きつねのかみさま』

姉と弟の二人は、なわとびのひもを公園に忘れてしまい、取りに戻りました。
すると、そこではきつねの子どもたちが忘れ物のなわとびを使ってみんなで遊んでいるのでした。

ポイント

筆者・絵本画家ともに人気・実力のある2人です。
だからでしょうか。
ストーリーの運びに気負うところがなく、きつねと人が話したり、いっしょに遊びだしたりしても違和感がありません。
いつの間にかに、読者は、すっと、絵本の世界へ誘い込まれているのです。
しかし、お話はファンタジーであることを生かすというよりは、登場人物たちの感情にていねいに寄りそい、気持ちを表現することを大切にします。
そのため、読後は、おおらかな気持ちになります。
ただ、昔話のおおらかさとは、また違った現代的なきめの細かいベールに包まれているような印象です。
最後には読者へ贈り物のような一言が待っています。
それが何かは読んでみてからのお楽しみです。

1月の一冊

『にげだしたライオン』
ゲーテ/作 田名網敬一/絵 
1,512円 1827年完成
テーマ
気持ちが大事
読後感
じーんとする
絵のタッチ
鮮やか色

文豪ゲーテが書いた童話
『にげだしたライオン』

火事になったサーカスから動物たちが逃げ出します。
ゾウやクマはすぐに見つかりました。ところがライオンの行方だけが分かりません。やっとのことでライオンが山の上の木の下に隠れているのを探し出したのですが、こんどは猛獣使いがむちを打って追い立てようとしてもライオンは言うことを聞ききません。やりを抱えて馬に乗った若者や、猟犬を従えた猟師が来ても野生に返ってしまった様子のライオンは牙をむいてびくともしません。いよいよ兵隊が取り囲み、ついに撃ってしまおうとしました。

ポイント

ライオンが撃たれようとしたその時、ひとりの少年がやってきてあることをしました。
そうすると、それまでとは一変してライオンはおとなしくなったのでした。
相手がどんな気持ちでいるのか。寄り添ってみることが大切だと示してくれるお話です。