<ANDゼミナールからのお知らせ>旅行の準備のための買出しにいく・・・あれ?

こんにちは。
ANDゼミナール(アンドゼミナール)日本橋人形町校です。今日のテーマは「の」を考える・・・。

「旅行の準備のための買出しにいく。」
日本語としては正しい。でも、ちょっとヘン。なぜでしょう。
Windowsでカナ漢字変換ソフトATOKなどを使っていると、こういう変換をすると「のが重なっているよ」と警告が出ます。(他の文章校正ソフトを使っていても同じ。)

「旅行の」の「の」を格助詞と言います。格助詞「の」はとても便利で文書をつなぐときについつい乱用してしまいます。
「書き方ができる人コム」(https://kakikata.dkrht.com/kihon/kihon01100.html)というサイトがあって、ここではどのようにしたら文章が上手に書けるか、ワンランク上の文を書くコツなどを教えてくれています。このサイトによると格助詞の使い方を見れば、文章を書くのが得意な人かどうかが分かってしまうそうです。(タイトルの日本語がおかしい?と感じなかった人はもう少し日本語の語感を勉強した方が良いかも。)
「でも、これしか表現できないじゃん」と言う人もいると思います。ではどうしたらよいでしょうか。
これには「言い方を変える」のが一番。「~の」ではなく、「~する」というような形です。表題の場合は
「旅行の準備をするために買い物に行く」
とするのだそうです。確かにこちらの方がこなれた感じですし、のを連発するとどうしても幼稚な印象になってしまいます。
それでは次の例。
「いつでもバーゲンセールのその店は、昨日も大安売りで、私もつい買ってしまった。」

これはどこがヘンでしょうか。会話体では特に問題にならないかもしれませんね。普通に使ってるよ、という人も多いでしょう。でもひとたび文字になってしまうと、やはりどこかヘンです。
先ほどは「の」が多かったですが、今度は「も」がちょっと鼻につきます。
では、どうしましょうか。
「常にバーゲンセールのその店は、昨日も大安売りで、私はつい買ってしまった。」
もちろん、これが唯一の正解というわけではなく、もっとよい言い換えもあるかもしれません。会話では、一度口から出てしまえば修正できませんが、書き言葉では、書く前に頭の中で整理してみるとか、書いた後で読み返して推敲してみるとかいろいろ手段はありますね。
ただ、助詞を重ねることが必ずしも悪いこととは限りません。というのも、文学作品や何か注目を集めたいというときには、意識的に「あれ?」と思うような表現を使うことがあります。
それだけでなく、同じ音(助詞に限らず)を重ねることでリズムが生まれるということもありますね。最近の音楽シーンではラップなんかがその典型です。メロディーラインはないけれど、パーカッションとボーカルのリズム、それだけでメロディー以上の効果を生み出しています。
例えばICE BAHNの「越冬」、これは「ouai」「ouui」など同じ母音の単語を3つずつ繰り返すことでとてもリズミカルな効果が出ています。(テクニカルな押韻や言葉遊びが見あれる日本語ラップの曲)(https://matome.naver.jp/odai/2136983518556866601)このサイトではラップの歌詞をそのまま、押韻や同じ音の繰り返しの部分をローマ字で指摘してくれてとても分かりやすいと思います。私はラップはわかりませんが、聞いてみればとてもリズミカル、押韻の部分が耳に残るのはよくわかります。

さて、今回のテーマ、助詞の「の」の例はどうでしょうか。
ちょっと(かなり)古いですが、万葉集にこういう歌があります。皆さんご存知でしょう。
石(いは)ばしる垂水(たるみ)の上(うへ)のさ蕨(わらび)の萌(も)え出づる春になりにけるかも
(志貴皇子)

み吉野の象山(きさやま)の際(ま)の木末(こぬれ)にはここだもさわく鳥の声かも
(山部宿禰赤人)
「の」という音がリズミカルに響きますね。かつて甲南女子大学の教授をされていた犬養孝先生は授業の中で「の~の~の~の律動ね」と楽しそうに話されていたのを思い出します。
言葉というのは本当に奥深い。何も考えずに話したり文を書いたりすると「~の」を乱発して、結果として妙な日本語になってしまうこともありますし、逆に「~の」をうまく使いこなして、とてもリズミカルな表現を生み出すこともできます。
うまく使いこなすか、別の表現に書き換えるか、いずれにしても言葉の奥深さに気づく良い例だと思います。

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